Column Detail 市街化調整区域の“線引き前建物”は解体すべき?残すべき?―たつの市の事例から考える売却戦略 ―
2026/03/02

いよいよワールド・ベースボール・クラシック(WBC)が開幕します。
毎回、決起集会の食事会なども話題になりますが、今回も大谷選手に主催してくださいと鈴木選手も言われてました。
その決起集会が昨日行われたそうですが、支払いは最年長の菅野投手だったそうです。
いろんな意味で結束が強くなったのではないでしょうか。
今回も優勝を目指して頑張ってください。
さて今回ですが、よくご相談をいただくテーマのひとつが、市街化調整区域内にある古家付き不動産の取り扱いです。
今回は、たつの市(兵庫県)で実際に話題になった事例をもとに、「線引き前に建てられた建物」を売却する際の重要なポイントを整理してみたいと思います。
■ 市街化調整区域とは?
市街化調整区域は、都市計画法に基づき「市街化を抑制する区域」として定められたエリアです。
原則として新たな建築や開発行為は厳しく制限されています。
ただし例外として、都市計画法第34条の要件を満たす場合には建築許可が下りるケースがあります。
その代表的なものの一つが、いわゆる「線引き前から存在する住宅」に関する取扱いです。
■ 線引き前建物とは何か?
昭和45年前後の区域区分(いわゆる“線引き”)以前から、適法に住宅として建っていた建物を指します。
このような建物には、
●当時から宅地として利用されていた実績
●適法建築物としての地位
が存在します。
ここが極めて重要なポイントです。
■ 「売買のタイミング」が問題なのか?
よく耳にするのが次のような話です。
●建物が残っている状態で売買すれば再建築できる
●先に解体して更地にしてから売ると再建築できない
結論から言うと、売買のタイミングが直接の理由ではあるが、
本質は、「既存適法建築物としての法的地位が残っているかどうか」です。
■ なぜ建物が残っていると有利なのか?
建物が現存している場合、
●既存住宅の建替え
●同一用途・同規模での再建築
として扱われる可能性があります。
つまり、“建替え”という理屈が使える状態です。
ところが、先に建物を取り壊してしまうと、
●既存建築物が消滅
●建替えという扱いができない
●単なる更地の市街化調整区域になる
という整理になる可能性があります。
その結果、「新築不可」という扱いになるリスクが出てくるのです。
■ 売却目線で考えるとどうか?
購入希望者が一番気にするのは、「将来建替えができるのか?」という点です。
建物が残っている場合、
●既存住宅の建替えとして行政と協議可能
●再建築の可能性を示しやすい
一方、更地の場合は、
●建築許可が下りるか不透明
●買主が金融機関融資で不利になる可能性
●価格交渉で大きく不利になる
といった現実的な問題が出てきます。
つまり、解体しない方が売却上有利になるケースも十分あり得るということです。
■ たつの市での実務上の重要ポイント
実際には、
1.線引き当時に住宅だった証明
2.固定資産税課税履歴
3.過去の航空写真
4.建築確認履歴
5.滅失後の取り扱い期間制限
などを総合的に確認する必要があります。
自治体ごとに運用が異なるため、必ず事前協議を行うことが重要です。
■ まとめ 〜市街化調整区域と空き家問題のジレンマ〜
市街化調整区域の線引き前建物は、
✔ 解体すればスッキリ売れる
✔ 古い家は邪魔になる
という単純な話ではありません。
むしろ、既存適法建築物としての法的地位を維持していること自体が、大きな価値になる可能性があるという点が重要です。
特に再建築可否が価格に直結するエリアでは、「解体してから売る」より「建物を残したまま戦略的に売る」方が結果的に有利になるケースもあります。
しかしここで、もう一つ考えなければならない問題があります。
それが、空き家問題とのジレンマです。
再建築可能性を守るために建物を残す。
しかし管理を怠れば老朽化が進み、倒壊や近隣トラブルの原因になる可能性もあります。
一方で、行政は空き家対策として解体を促したい。
しかし都市計画上は市街化を抑制したい。
つまり、
●「解体を進めたい政策」
●「新築を抑えたい政策」
この二つがぶつかる構造の中に、所有者は立たされています。
だからこそ大切なのは、放置ではなく、戦略的な維持管理です。
✔ 再建築可能性を事前に行政と確認する
✔ 必要最低限の修繕で安全性を確保する
✔ 売却時に法的地位をきちんと説明できる状態にする
税金だけで判断せず、法的地位・再建築可能性・買主目線・地域への配慮を総合的に整理したうえで判断することが重要です。
市街化調整区域の売却は、一般的な市街化区域とはまったく考え方が異なります。
たつの市で同様のお悩みがございましたら、行政協議を踏まえた上で、最適な売却戦略をご提案させていただきます。




