Column Detail 認知症の親名義の不動産売却は可能?
2025/05/15
ネットで「読めない道路標識」の記事を発見しました!
姫路市内のいたるところで老朽化した標識の文字がはがれて読めなくなっているようです。
この標識が設置された時期が2006年に兵庫県で開催された国体の頃で、全国から集まる方々のために設置したそうで、約20年経って同時期に老朽化したそうです。
この標識を新調するには1つ20万円するそうで、3年前から少しずつ張り替えているそうです。
確かに、姫路市内を車で走っていると見えにくい道路標識を見ますが、地名を知っている私にとっては特に気にもなりませんでした。
ただ観光を推す姫路市としては兵庫県と話し合いをして、見栄えも大事にしてほしいですね!
今回は、お客様からよくご相談いただく「認知症の親の名義になっている家を売却したい」というケースについてお話ししたいと思います。
高齢化社会の進展とともに、こうしたご相談は年々増加していますが、実はこの問題には多くの注意点があり、正しく対応しなければ思わぬトラブルになることもあります。
〇認知症=契約ができない可能性がある
まず、最も重要な前提として、「不動産売買契約」は、意思能力のある人しかできません。
つまり、不動産の所有者が認知症を発症していて、「自分が何をしているのか」を理解できない状態にある場合、その方が自ら売却契約を結ぶことはできません。
「家は親の名義だけど、子どもの私が代わりに売りたい」という場合でも、親が健常であれば委任状などで対応できますが、認知症を発症している場合は、それも無効になる可能性があります。
では、どうすればいいのでしょうか?
〇成年後見制度の活用が必要に
認知症の方の不動産を売却するには、「成年後見制度」の利用が一般的です。
この制度は、判断能力が不十分な人の財産を法律的に保護し、代わりに手続きを行う「成年後見人」を家庭裁判所が選任する仕組みです。
成年後見人に選ばれると、その人が法的に有効な売却契約を結ぶことが可能になります。
成年後見人は親族が選ばれることもあれば、弁護士や司法書士といった第三者が選ばれることもあります。
〇売却理由は「本人のため」でなければならない
ここで注意していただきたいのが、「なぜ売るのか」という理由です。
成年後見人が行う財産管理や処分は、あくまで本人(=認知症の親)の利益のためでなければなりません。
たとえば、「空き家のままだと固定資産税がかかるから売りたい」「子どもが住むために売却して買い替えたい」など、親本人以外の都合で売却するのは、家庭裁判所から認められない可能性があります。
【売却が認められにくい「相応の理由」の例】
・空き家の管理が困難
・将来の相続トラブル防止のため
・手続きに時間がかかる
一方で、「施設入所の費用に充てるため」「老朽化が進み、安全に暮らせない」など、本人の生活や安全を守るための売却であれば、家庭裁判所の許可が得られる可能性が高まります。
【売却が認められる「相応の理由」の例】
・預貯金がほとんどなく、不動産売却しか介護費用を捻出する手段がない
・被後見人の生活や健康維持のために、より適した住環境への移転が必要
〇売却には家庭裁判所の許可が必要
実際に成年後見人が選任された後も、不動産の売却にはさらに「家庭裁判所の許可」が必要です。
これは、不動産という高額な資産を処分する以上、本当に本人のためになるのかを裁判所が慎重に判断するためです。
この許可申請には、売却理由や資金の使い道、売買価格が適正かどうかなどを詳しく記載した書類が必要となります。
手続きには1〜2ヶ月程度かかることもありますので、時間的な余裕を持って進めることが大切です。
〇まとめ
認知症の親名義の不動産を売却する場合は、
1.認知症の診断を受けた時点で、本人は意思能力がないと見なされる可能性がある
2.子どもが代わりに売ることは原則できず、「成年後見人」の選任が必要
3.不動産売却には、家庭裁判所の許可が必要
4.売却の目的は、あくまで「本人のため」でなければならない
という点に注意が必要です。
ご家族の将来のために必要な手続きであるとはいえ、専門的な知識や時間が求められるケースでもあります。
当社では、信頼できる司法書士や弁護士とも連携し、お客様のご事情に合わせたサポートを行っております。
「どう進めていいかわからない」という段階でも、ぜひ一度ご相談ください。
誠実に対応させていただきます。