Column Detail 売却時に気をつけたい短期譲渡所得とは?
2025/04/10
姫路市にはたくさんの名産品がありますが、この時期はやはり太市のタケノコです。
太市は姫路市の北西、山陽自動車道姫路西インターチェンジ周辺の地域になります。
太市のタケノコは鉄分に富んだ粘土質の土壌で育ち、シャキシャキ感と香りの高さ、やわらかく、えぐみが少なく甘みを感じられます。
急傾斜の斜面にびっしりと竹が生えていることから日当たりのよい竹林が多いという環境も好条件となっています。
今年は、去年の夏の猛暑や雨が少なかったことで収穫量が少ないようで、市外から直売所に来られる方も多いようです。
さて今回は「売却時に気をつけたい短期譲渡所得とは?」という内容でお話しします。
「3年前に投資目的で不動産を買ったが早く売りたい」や「4年前に転勤でマンションを購入したが、住む予定が無くなったので売りたい」など、短期的に不動産の購入と売却をされた場合に、売却時期によっては短期譲渡所得になる可能性があります。
その注意点を含めてご紹介したいと思います。
◆ 短期譲渡所得とは?
不動産を売却したときに利益(=譲渡益)が出ると、その利益に対して「譲渡所得税」が課税されます。この譲渡所得は、不動産を所有していた期間によって税率が異なります。
・所有期間が 5年超 の場合:長期譲渡所得
・所有期間が 5年以下 の場合:短期譲渡所得
仮に4年前に取得された不動産を売却すると仮定するなら「短期譲渡所得」として扱われます。
短期譲渡所得は、長期譲渡所得よりも税率が高くなるため、注意が必要です。
◆ 短期譲渡所得の税率
短期譲渡所得に対する税率は以下のとおりです(令和6年度現在):
・所得税:30%
・住民税:9%
・復興特別所得税:所得税の2.1%(= 30% × 2.1% ≒ 0.63%)
合計で、約39.63% の税率が適用されます。
◆ 譲渡所得の計算方法
譲渡所得は以下のように計算します:
譲渡所得 = 売却価格 −(取得費 + 譲渡費用)
・取得費:購入時の金額や仲介手数料、登記費用など
・譲渡費用:売却時にかかった仲介手数料など
譲渡所得がプラスになった場合、その額に対して上記の税率が適用されます。
◆ 具体的なケース(3000万円で売却した場合)
たとえば、お客様が以下の条件で不動産を売却したと仮定します:
・購入価格:2,000万円
・売却価格:3,000万円
・取得費:2,000万円
・取得にかかった諸経費:100万円
・譲渡費用(仲介手数料など):100万円
この場合の譲渡所得は:
譲渡所得 = 3,000万円 −(2,000万円 + 100万円 + 100万円)= 800万円
この800万円に対して、約39.63%の税率がかかるため、
譲渡所得税 = 900万円 × 39.63% ≒ 317.04万円
つまり、およそ317万円の税金がかかることになります。
◆ 注意点とアドバイス
1.所有期間の数え方
売却した年の1月1日時点での所有期間で判定します。例えば2019年12月に取得して、2024年3月に売却しても、「2024年1月1日時点ではまだ5年未満」となるため、短期譲渡所得に該当します。
2.特例の対象外
短期譲渡所得には、「3,000万円特別控除」などの特例は原則使えません(居住用財産の譲渡でも短期の場合は特例が使えないケースが多いです)。
3.税金対策を考慮するなら
もし売却時期を1年遅らせて5年超の「長期譲渡所得」になれば、税率は 約20.315%(所得税15%+住民税5%+復興特別所得税) に抑えられ、税額が大幅に軽減される可能性があります。
◆ まとめ
お客様が4年前に取得した不動産を3,000万円で売却される場合、税率約39.63%が適用され、利益が800万円とすると、およそ317万円の譲渡所得税が発生します。
不動産の売却は金額が大きく、税金の影響も非常に大きくなります。売却時期や所有期間を考慮しながら、税理士や当社のような不動産の専門家と相談し、最適な判断をしていきましょう。